花咲


サンマ漁:根室・花咲港が水揚げ日本一奪還 漁場の近さ生かし2年ぶり

根室市の花咲港に水揚げされるサンマ 10年のサンマ漁は、北海道根室市の花咲港が2年ぶりに水揚げ日本一に輝いた。09年は11年続いていたトップの座を千葉県銚子港に明け渡したが、今季は全国的な不漁の中、地理的なメリットを生かして圧倒した。
 全国さんま棒受網漁業協同組合(東京都港区)のまとめた速報値によると、10年の花咲港のサンマ水揚げ数量は約4万7540トン。前年より約12%減ったものの、2位の宮城県気仙沼港(約2万4800トン)を大きく引き離した。3位は宮城県女川港、4位は岩手県大船渡港、5位は釧路港。昨年トップの銚子港は8位だった。
 今季のサンマ漁は、漁場が日本列島から離れた場所に形成され、魚群もまばら。中盤からはやや盛り返したものの、水揚げは前年比63%の不漁に終わった。ただし本州に比べれば漁場が近かった北海道は27%減に踏みとどまり、中でも花咲港は大半の漁船がピストン操業に利用したため、他の産地を寄せ付けなかった。金額でも13年連続1位の約88億1147万円で、前年の1・88倍に達した。
 サンマ不漁の原因は、専門家間でも意見が分かれている。「猛暑による高水温化の影響」や「09年の中・小型魚の捕り過ぎ」説のほか、地球規模の環境変化に伴い、マサバ→マイワシ→サンマと数十年単位で多数派の魚種が入れ替わる「レジーム・シフト(魚種交代)」の可能性も取りざたされている。
 水産総合研究センター東北区水産研究所の中神正康主任研究員は「漁期前の群れの分布が過去に比べ極端に東に偏り、日本近海への来遊が遅れたのでは」と指摘するが、偏りの原因は、はっきりしないとしている。【本間浩昭、山田泰雄】
毎日新聞 2011年1月1日 1時16分